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2021年10月20日
みやぎ県民大学 学校等開放講座【宮城県松島自然の家】
「奥松島トレッキング〜いにしえの道・新宮戸八景巡り〜」
歩きながら宮戸島の自然と知らなかった歴史に触れる

令和3年10月20日,松島自然の家で開かれた,みやぎ県民大学の学校等開放講座「第2回奥松島トレッキング〜いにしえの道・新宮戸八景巡り〜」に参加しました。

東松島市宮戸島の各地区に残る昔の生活道を歩きながら,観光名所の新宮戸八景を巡る「奥松島トレッキング」。宮城県松島自然然の家が主催し,今年度は6月・10月・3月の全3回コースで開催。定員は25名で,年配の方の参加も多く見られます。トレッキング経験はさまざまで,初心者から趣味でよく歩いているという人まで,幅広い層の方が参加しました。

 

嵯峨渓の自然を満喫できる!

 

「新宮戸八景」とは,景観美や歴史的背景などをポイントに,平成21年,地元の方々が選んだ奥松島・宮戸地区にある8つの名所のことです。今回挑戦したのは,嵯峨渓コース。約3.5キロメートルで,所要時間は休憩を含めて約2時間。「いにしえの林道」を通り,①室浜海岸 ②新宮戸八景「儀兵衛・多十郎の記念碑の丘」 ③新宮戸八景「嵯峨見台」 ④鮫ヶ浦(震洋跡見学)を巡るコースです。

 

松島自然の家の講師に宮戸島でのトレッキングの魅力を聞いてみました。

「宮戸島は海と山に恵まれた地域ですが,歴史を感じることができる場所でもあります。今回は嵯峨渓の自然を満喫できるコースです。昔の生活道を歩きます。トレッキングを通じて,そこから見える景色や自然,歴史の跡を感じて欲しいです」

 

 

まずはしっかり準備運動。体の左右の筋肉を伸ばしたり,肩甲骨を回したり。さらに,スクワットを行い,股関節周りなど下半身を中心に動かし,最後にストレッチ。

この準備運動が,トレッキングコースの林道を歩いたり,坂道を登り降りしたりする際に効いてきます。

 

天気に恵まれ,まさにトレッキング日和!

 

 

自然の家駐車場側の登山口から観音寺に入り,遊歩道を進みます。講座2回目のトレッキングということもあってか,みなさんペースが早めです。遊歩道を歩いていると,「あっ,栗が落ちてる!」「これ,アケビかな」など,目にする植物や景色に感動する声があがります。

 

徐々に竹藪が広がり,険しい林道になってきました。林道沿いには,つかまって歩けるように柵が設置されている所もあり,体力を調整できます。

林道を抜けると,室浜海岸に出ました。

 

新宮戸八景の一つ「儀兵衛・多十郎の記念碑の丘」は,室浜海岸にほど近い山の高台にあります。細い入り口から遊歩道に入り,記念碑の丘へ向かいます。遊歩道入り口から10分位で丘に到着。

 

 

記念碑の丘からは嵯峨渓が見晴らせます!「今日のような晴れの日は,牡鹿半島や金華山,網地島まで一望できるんですよ!」と講師。みなさん,スマホを取り出して写真を撮ったり,柵のギリギリまで近づいて眺めたり,景色を堪能していました。

 

 

儀兵衛と多十郎は宮戸島出身で,日本で初めて世界一周を果たした人物。碑には「儀兵衛多十郎オロシャ漂流記念碑」と書かれ,世界周航図がかたどられてあります。

江戸時代,石巻を出航した千石船が難破して,当時ロシア領だったアリューシャン列島に漂着。乗組員の中にいた儀兵衛と多十郎が,ロシア初の世界一周就航船で1804年長崎に帰国し,その後室浜に帰郷しました。

 

帰りは別ルートから下山し室浜漁港へ。

小さな登山口が複数あるところに,山道が生活道だったことがうかがい知れます。「松島自然の家は昔、小学校だったんです。この林道はかつて通学路でした」

講師の昔話に参加者の方々は驚いていました。

 

 

室浜漁港でいったん休憩です。海の景色をバックに記念撮影を行いました。

水分をしっかり補給したら次のスポット「嵯峨見台」へ。嵯峨見台までの道は土留めが付いている所もあり,比較的歩きやすいです。参加者のみなさんは疲れた様子も見せず,道端の花やキノコ,木の葉について会話しながら,ペースを落とさず歩いていました。

 

 

 

「嵯峨見台」に到着!さっそく,あずまやからの眺望を楽しみました。目の前に黒島や花魁島など奥松島に浮かぶ島々や奇岩が見え,遠方に田代島や網地島,牡鹿半島も望めます。昔は,嵯峨渓が一望できたそうですが,現在は樹木が茂りすぎて見えにくくなっているのが少し残念です。

 

 

「嵯峨見台」には,岩をくり抜いてつくられた「潜ヶ浦(かつぎがうら)聖観音堂」と鐘楼があります。下から見るととても不思議な光景です。お堂の中をのぞいたり鐘をついたり,みなさん体験に夢中。

 

 

下り道は途中,急勾配や滑りやすい所があり,慎重に歩を進めました。

石鳥居をくぐりしばらく歩くとトンネルが見えてきます。大鮫隧道というトンネルを抜けると,2018年に1年間曜日限定で設置された,鮫ヶ浦水曜日郵便局の建物がありました。

 

 

その先には鮫ヶ浦漁港の跡地が広がっています。戦時中は,爆弾を積んだ特攻艇「震洋」の秘密基地だったそうです。「震洋」を格納するために掘られたであろう横穴がいくつもありました。「震洋」はここから出撃する前に終戦を迎えたそうです。

 

体験したことの振り返りが大切

 

戦争遺跡を見学した後は,再びトンネルを通り終着地点へ向かいました。

前回参加できず,今回初参加だったという方は、「こんなにきちんと奥松島を回ったのは初めて。素晴らしい景色や,知らなかった歴史に触れることができて良かった」と話していました。

 

最後に松島自然の家の所長から「今日はさまざまな場所を巡りました。ぜひ帰ってから,見たり聞いたりして学んだことを振り返ってみてください。そして,これを機にいろんなところをトレッキングしていただければと思います。次回3月にまたお会いしましょう」

 

 

宮城県松島自然の家は,小学生や中学生の合宿,自然体験活動に多く利用されています。トレッキングの他にも,筏づくりやシーカヤックなど海をメインとした体験活動ができます。また,東日本大震災の被災地ということで,防災について深く学べる講座もあります。

近年は,幅広い年代の方が参加できるプログラムも用意されています。開催講座をチェックして,ちょっとした体力づくりや学びの機会を広げていきましょう。

 

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